一生の不作とならぬよう

弟の同居人は、何も助けになってくれない。
そのくせ、うちの苗字を名乗っているのだ。
ある日、突如として、何の身に憶えもないことで、いきなり喧嘩を売られた。
お人好しな私は、何をそんなに怒らせてしまったのだろうと、原因なるものを必死で探そうとした。
それから暫くして、「ああ、なるほど」と理解できた。
つまり、今後、何かと当てにされないように取った手段だということに気付いたのだ。
喧嘩して一度関係を壊してしまえば、簡単に逃げられるわけで。
卑怯極まりない。
何の罪もない、年老いた母のことまで避けていることを聞いて、我々の予想は確実となったわけである。
自分の方から正体を現した、ということです。
最初から、何かワケありな雰囲気が漂っていたが、こういうことだったのかと納得。
弟も一生の不作とならぬよう、遠くから祈るばかりである。