捨てる神あれば拾う神あり

一時は大恋愛で我を忘れるような日々を送っていたことがまるで信じられないほどに醒めてしまうことがある。
相手からちょっと身体に触れられたり、ただ微笑みかけられたりするだけでゾッとして身震いしてしまうほどの嫌悪感のみしか残らず。
我慢できずにそのまま離婚、もしくは離別して、そしてちょっとだけの間、心が痛むのは人間として当然のことなのだろうが、暫くするともうすべてきれいに忘れてしまう。
それからだいぶ経ってから、その別れた相手が再婚したり、新しい恋人がいるということを耳にしたりすると、私があんな身震いするほど嫌った男性を愛する女性がこの世に存在することを心から嬉しく思う。
一種の安堵感のような思いで胸が一杯になる。
未練たっぷりで私の後追いをするような彼らの哀れな姿を見るのは本当に本当に辛い。
特に彼らの懇願するような目を見るのは非常に切ない。
どんなことをしても私の心は元には戻らないし、どんなに私のことを待っても彼らの元に戻ることは二度と無い。
だから、彼らを再び愛してくれる女性が登場するのはとても嬉しく思う。
私にとっては二度と触れられたくない彼らの腕に抱かれて幸せを噛み締める女性たちがいるのだ。
それを知って初めて私の心は確実に解放されるのである。